加藤組土建株式会社

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- 第49章 -

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49-03:パンを食べない理由  <04/05/20>

 

●美味しいものは好きなのに

私は美味しいものを食べるのが好きで、外食するときもどこに行くかとても考えるほうですし、レパートリーは少ないながら自分で料理もします。
料理番組もグルメ番組もよく見るほうです。

そんな私がほとんど食べない食材にパンがあります。
シソが嫌いだったり、缶詰のアスパラガスが食べられなかったり、トマトが食べられなかったり、好き嫌いはいろいろあるのですが、パンもほとんど口にしません。
パンが嫌いというわけではないのですが、考えてみれば随分と食べていなかったような気がします。

●焼き立ての香り

東京での一人暮らしから函館にUターンしてしばらくは実家で両親と暮らしていましたが、そのうちまた一人暮らしがしたくなりアパートを借りました。
そこはそれほど新しくもない2階建てのアパートで、1階は貸し店舗でした。

私が住み始めて間もなく、1階の店舗にパン屋さんが入居しました。
そのパン屋さんは主婦が自分達でパンを作って売るという、手作りパンのお店でした。
ちょうど私の部屋の下がそのお店になるわけで、私としては毎朝焼き立てのパンの香りとともに目が覚める光景を想像しておりました。
確かに最初の頃は、そんなこともあったような気がします。
ところがしばらくすると、事態は変わっていきました。

●お酒の匂い?

皆さんは、パンがどうやって作られるかご存知でしょうか?
パンは焼いてできるのですが、焼く前に「発酵」という工程がありますよね。
小麦粉をねったものにイースト菌を入れて発酵させるというアレです。
おとなしく発酵してくれればいいのですが、この工程はなんともいえない匂いがします。

「発酵」するわけですから、お酒の匂いにちょっと似ているでしょうか。
私はお酒は嫌いではないですが、お酒になる前の、いやできてからもお酒にはならないお酒に似た匂いは好きではありません。
その匂いはさほど立派ではないアパートのどこかから、私の部屋へ侵入してきます。
それも来る日も来る日も毎朝です。
「焼き立てのパンの香りで目覚める計画」は、「発酵の匂いで起こされる」に変わってしまったのです。

●店主はいい人だった

どうやらこのときからパンを食べなくなったようです。
もともとご飯が好きでしたから、朝にパンを食べたいとも思わなかったのですが、この事件が決定的になりました。
「パンが発酵する匂いもいいものよ」
きっとそうおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
でも毎朝毎朝その匂いで起きてごらんなさい。
そりゃいやになりますって。

1階のパン屋さんのオーナーはとてもいい人で、どう見ても貧乏暮らしをしているようにしか見えない私をみかけると必ず声をかけてくれて、売れ残ったパンを少し分けてくれました。
そこのパン屋さんの得意分野は、子供が大好きな菓子パンです。
ジャムパン、あんぱん、メロンパン、クリームパン、なんとかデニッシュ・・・etc。
その度に私は顔をひきつらせながら笑顔を浮かべ、心の中でささやくのです。

私は甘いものが苦手です・・・

・・・end

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