加藤組土建株式会社

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- 第56章 -

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56-07:続・今そこにある狂気 <06/03/09>

 

●蘇る記憶

前回、「赤いボタン」の話を書いてからというもの、巷のボタンが気になって仕方がなくなってしまいました。
ボタンであれば何でもいいわけではありません。
たくさんあるボタンの中で、ひとつだけいかにも「押してはいけませんよ」という風情があるものでなければいけません。
その上で自分1人だったら・・・なんてことを想像するだけで鳥肌が立ってきます。
きっと皆さんも、こういったプチ狂気を感じた経験をお持ちの方がいらっしゃるのではないかと思います。
そういえば、またそんな記憶が蘇ってきました。

●えんとう

私がまだ5,6歳の頃のお話です。
南に住んでいる方にはちょっと想像しにくいかもしれませんが、私の住む北海道では家の中に何らかの暖房設備があるのが普通です。
今であれば、セントラルヒーティングや床暖房といったハイカラなものも珍しくなくなりましたが、当時はまだ石炭ストーブから石油ストーブに替わりつつある頃。
我が家は石油ストーブを使用していました。
この石油ストーブも現在主流となっている石油ファンヒーターなんぞというものはまだなく、思いっきりストーブの中で火が燃えているのが見えるものでした。
石油を燃やすと煙が出ますので、排気の為に煙筒(えんとう)と呼ばれるステンレスの筒がストーブと家の煙突とを結んでいました。
今回はその煙筒にまつわる話です。

●か、顔が・・・

ストーブの前で暖まっていると、最初は暖かくて気持ちがいいのですが、そのうち気持ちいいを通り越して頭がボーッとしてきます。
事件はその時起こりました。
何気なく目の前にある煙筒が気になり始めました。
煙筒はキレイなステンレスで、所々熱で青と赤が混じったように変色していました。
表面には細く変形した自分の顔が映り込んでいます。
なぜか私こう思ったわけです。
「どんな味がするんだろう?」(あ、味かよ!)
えーえー冷静に考えればおかしな話なんですが、確かにそう思ったんです。
そう思えば思うほど、その銀色に輝くステンレスの煙筒に顔が近付いてしまうのです。
そしてついに・・・。

●やっぱり・・・

「ジュッ」

ほんの一瞬でした。
私の顔が映りこんだ煙筒に、そっとアイスクリームでも舐めるように出した舌先が触れた時、そんな音が聞こえました。
痛いというか熱いというか、あの四角い乾電池の電極を2つ同時に舐めた時のような感覚とでも申しましょうか。
もちろん味などわかりません。
幸いそのまま舌が煙筒にひっついてしまうなどという、書いていても恐ろしくなるような状況にはなりませんでした。
「やっぱり熱いんだ・・・」
「やらなきゃよかった」と後悔の気持ちがわきあがるまで、さほどの時間はかかりませんでした。

●舐めたくなる時

さて、その後私の舌はどうなったかと申しますと、舌先が白く変色しまして、数ヶ月その部分で味を感じることはできませんでした。
幸い、現在普通に美味しく食事が出来ていますので、このことで味オンチになったということもないようです。
その後、私が再び煙筒を舐めることはありませんでした。
現在、我が家には部屋の中に煙筒はありません。
よって舐めたくなる衝動にかられることはもうないでしょう。
もしまだ貴方の家にステンレスの煙筒があったら、試しに覗いて見てください。
もしかしたら、そこに映り込んだ貴方の顔が「舐めてぇ・・・」と言っているかもしれません。ヒョッヒョッヒョッ・・・wwww


※北海道以外の人にはストーブと煙筒のイメージが伝わらないのではないかと思い、ネットでいろいろ探してみましたがなかなか見つかりませんでした。
で、見つかったのが昔の駅の待合室の写真。
ステンレスの煙筒の雰囲気、伝わりましたか?

 
・・・end

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