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●S部会、安全パトロール
当社には、協力会社の組織として「SQCOK(スクォーク)」と呼んでいる組織があります。
「S(安全)」「Q(品質)」「C(工程管理)」という3つの部会を持ち、それぞれが自社の技術や品質、安全管理などの意識向上を図るために、2000年から活動を始めました。
その中のS部会が行っている安全パトロールに同行いたしました。
メンバーは、当社役員2名を含む5名の他に、SQCOKの協力会社から3名の計8名です。
安全パトロール車1台に8名乗り込み、賑やかな日帰りパトロールになりました。
普段、私は他社の人と接する機会がありませんので、とても貴重な機会です。



●有珠山噴火の爪跡
今回の現場は、2000年に噴火した有珠山のふもと、洞爺湖近くの災害復旧工事です。
私が今まで訪問した工事現場の中では、一番函館から遠い現場でした。
有珠山が噴火したのは、2000年3月、1977年に噴火して以来23年振りのことです。
噴火後に何度か行ったことはありましたが、その度に自然の驚異を感じずにはいられませんでした。
今回は災害復旧の最前線の工事現場に足を踏み入れた訳ですが、「間近に見る」というよりも「足下にある噴火後の現実」の凄さは、一瞬言葉を失うほど。
山肌は一面粘土質の泥で覆われ、そこには一枚の葉もまとっていない焦げた木々が何本も残っています。それは生えているというより刺さっているという様相。
現場近くには、まるで広島の原爆ドームを想像させる焦げついた建物が、かろうじてその面影を残しています。
現場のすぐそばには、噴火口に水が溜まって出来た大きな池が出来ていました。
一面泥に覆われた山肌にエメラルドグリーンの水の色は、自然が作り出したミスマッチの美しさかもしれません。



●自然の驚異には勝てない
工事の内容は、山肌が崩れてこないように斜面に布団かごと呼ばれる枠に土のうを積んで固定した後(土留工)、植生マットと呼ばれる芝生のじゅうたんのようなものを張ります。
今回の現場の隣には、以前当社で施工した斜面が、完成形としてまだキレイに残っていました。
現場で所長を勤める阿部さん曰く、
「なんとか工期に間に合うように努力しているが、自然の驚異には勝てず、苦労している。」
もう11月ともなるとこの辺りはかなり冷えますので、斜面の泥は凍ってしまう日もあるそうなのですが、まだ火山活動が完全におさまったわけではないのでまだ地熱があり、凍った山肌を削るとドロドロになった土がすぐに出てくるそうです。



●膝が笑う・・・

一応、安全パトールということで視察に来ていますので、現場を見ていかなくてはいけないのですが、復旧工事が必要な山を登るのは想像以上に大変でした。
もちろん道などあるわけがありません。
ドロドロの斜面の上に、ハシゴのような階段がかなり急な角度で上の方まで続いています。
脇には申し訳程度のロープが、手すりの替わりをしています。
最初は口数の多かった視察メンバーでしたが、3分の1を上ったあたりからモノも言わず、「ハァハァ・・・」と息を吐く声だけが聞こえます。空気は冷たいのに額にはうっすら汗がにじみ、半分を過ぎたあたりからは可笑しくもないのに膝が笑い出しました。
写真を撮る為に私は最後尾についていましたが、途中、「さ、先に行ってくれ・・・」と息も絶え絶えメンバーに道を譲られました。今回のメンバーの中では一番若いはずの私の膝も、その時すでに大爆笑でガクガクしていたのはいうまでもありません。



●自然の中に生きている
なんとか上まで登った時、眼下に見えたのは神秘の姿を見せる洞爺湖でした。
湖面に映る中ノ島の影の美しさと、その手前に広がる噴火の足跡というコントラストが、私たちが自然の中で生きていることを思い出させます。
下から見たときには米粒のように見えていた作業員の人たちが、木材を肩に担いで器用に斜面を歩いていきます。
その先には、虫のように山肌に貼りついた重機が動いています。
私たちが登ったところの上にはすでに植生マットが敷かれたところがあったのですが、もうハシゴのような階段もなく、メンバーの表情からは「勘弁してくれ・・・」という言葉にならない悲鳴が伝わったらしく、今回は登山をあきらめることにしました。
いつも土木の現場に来て思うことは、工事の内容はとてもシンプルだけれども、そのスケールの大きさと自然とがっぷり4つに組んでいることに毎回新鮮な驚きを感じます。
人間にはどうしようもできない自然の力の中には危険もいっぱいです。
素人である私の驚きの影にあるのは、現場の人たちの安全に対する意識であることを再認識した今回の安全パトロールでした。

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